独りきりのLabyrinthの倉庫

包丁二丁持った犬の創作のような何かのブログ

飛行機雲のこと

暑い。最近本当に暑いですよね。

こんな時はだらだらしたくなりますがそういう訳にもいかず……

まあそんなことはいいんですが。

 

初夏なので爽やかな?話がしたいと言うことで自作の話。

読んでない人は読んでからの方が良いですね。

「此処にひこうきぐもは無い」

 

https://coolier.net/sosowa/ssw_l/227/1581256880

 

この話ってそもそも早苗が懐かしいって思うところから始まるんですが、普段の日常で何か引っかかるような思い出や、懐かしいと思うことってありませんか?……無い?いや、それならいいんですけどね。

 

早苗の思考はやっぱり幻想郷の思考じゃないと思うわけですよ。現代日本人の思考というか。

電気製品が身近にあってインターネットで人が繋がって、と言うような(風神録は2007年だからその辺のインターネットの知識かもしれないけれど)日常を過ごしていたと思うんですよ。日常から非日常に来た彼女にとっては非現実的というか。

そんな時に気がついたのが、飛行機雲が無い、ということなんです。

普段、飛行機雲って条件さえ揃えばどこにでも表れるような雲じゃないですか。青い空を一直線に白い雲が伸びている……そういう人工的な雲なわけです。

そも、幻想郷に飛行機なんて飛ぶわけないですよね。外の世界と繋がっていれば飛ぶかもしれませんが、空を飛ぶのは幻想少女たち。飛行機雲なんて作れないわけです。

私の解釈では幻想郷の空と外の世界の空は違うと思うんです。確かにひと繋がりになっているのかもしれない、だけれど結界がそれを邪魔しているのだと解釈しています。

だから飛行機雲は幻想郷にはあらわれない。それを早苗は菫子と話して気がつくわけです。

そうして悩んでいたのが馬鹿らしくなるわけです。何故って、だって幻想郷は外の世界じゃないことに気がつくんですもの。早苗は幻想郷が外の世界と地続きにあるものだと解釈しているのならそれを混同させてしまうわけです。

幻想郷は外の世界と同じだと。そんなはずがないんですよ。現代の幻想達が闊歩しているこの世界に、外の世界の認知や常識なんか通じるわけないのですから。そんな当たり前のことを気がついてないから驚きなわけです。馬鹿らしくなって笑いたくもなります。実際早苗は笑ってますが。

 

そうして次は菫子との対比です。

菫子と早苗は似ているようで根本的に違うと思うんですよ。(人が違うので当たり前なんですが言わせてくださいな)

外の世界の住人と住人だった人。

幻想に馴染まない人と馴染む人。

幻想が遠い人と近い人。

とまあそんな感じですかね。対比がよくできる二人ですね。

早苗は幻想に入り込んでしまった人でもあります。おそらく自分の意思ではあるんでしょうが、それでも入り込んでしまった、と私は思います。だって神様、二柱に引き込まれたようなものですから。神隠しと言っていいかも(言い過ぎ?)しれない。

この二人を対比させることによって早苗の外への心境というのが分かるのかもしれません。

菫子は幻想郷に非日常で生きていて。早苗は幻想郷に日常で生きている。

そんなことを気が付かされるようなそんな感じがします。

 

そうして早苗はひとつ笑った後に気がつくのです。ここは日常、早苗の世界が終わったことを。

 

幻想郷に飛行機が来るのは一体いつになるんでしょうね。確実に言えるのは彼女が死んでから、ということだけです。

 

脳裏に浮かぶ飛行機雲を早苗は空に写すのでしょう。死ぬまで見ることの無い世界を早苗は生きて行くのでしょう。

そんなお話でした。

 

ではまた。